第2回課題提案型ワークショップ成果発表会 開催報告

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【日 時】2017年12月15日(金)13:00-17:40
【会 場】広島大学東広島キャンパス 中央図書館1F ライブラリーホール
参加者数: 44名

【内 容】
まず本ワークショップの主催、科学技術人財育成のコンソーシアムの構築事業(次世代研究者育成プログラム)「未来を拓く地方協奏プラットフォーム」を代表し、グローバルキャリアデザインセンター副センター長 三須敏幸教授から開会挨拶がありました。ワークショップ開催にご協力・ご尽力いただいた皆様への謝意が述べられ、これから成果を発表する履修生たちに期待とエールが送られました。

つぎに基調講演として、広島大学学術院教授 生物圏研究科 島田昌之先生に「大学人が考える普及技術と普及する新技術のギャップ」と題してお話いただきました。島田先生は、ご専門である家畜生殖学において世界で初めて実用化水準のブタ凍結精液を用いた人工授精法を確立されています。実用化を求める声に応え、平成23年に株式会社広島クライオプリザベーションサービスを設立されましたが、その背景、実際に検討されたビジネスプランをご紹介いただき、当初プランの盲点、そこから得られた気づき、ネットワークや広報の利活用、研究者ゆえ活かせた利点など、多岐にわたって非常に勉強になるお話を、ユーモアを交えて語ってくださいました。

つづいて本ワークショップのメインファシリテーターを務めた広島大学 産学・地域連携センター 新産業創出・教育部門 川瀬真紀客員准教授が、全5回のワークショップを振り返り、演習全体の目指してきた姿について解説しました。解決策に飛びつくことをやめ、議論を拡げていく中で常に立ち返る課題を明確にすることの重要性が強調されると、過去4回のワークショップを通じてその意味を体感した履修生、オブザーバーが大きく頷く様子が散見されました。

そしていよいよ各チームの成果発表がはじまりました。まずテーマ1「佃煮のポジショニングをデザインする」を担当した履修生たちが、提案企業株式会社ヒロツクの社員の方々と共に考え出した企画を発表しました。伝統食としての佃煮について学び、自発的にフィールドワークを繰り返す中で気づいたポイントを拡げ、留学生たちをターゲットとした「佃煮」普及企画は着眼点が面白く、さらにデータの裏付けとして実際に1週間で100人以上の留学生にアンケートを取った行動力には企業参加者の方々も感心されていました。「佃煮がそもそも若者には知られていないという事実は、非常にショックだが逆に大きな気づきだった」と提案企業からコメントを頂戴しました。

つづいてテーマ2「木の文化を再構築する」を担当した履修生たちが、提案企業株式会社トイロの社員の方々と考え出した企画を発表しました。木とのタッチポイントを探る中で、ヒノキと人間の成長を同期させる発想は非常にユニークで、事業化に向けて課題は残るものの、提案企業からは「長年受け継いできた伝統を保つことも大事だが、それに固執せず新しい視点を取りいれることが非常に重要だと気づいた」というコメントを頂戴しました。

最後はテーマ3「佃煮の付加価値をサイエンスする」を担当した履修生が、提案企業株式会社ヒロツクの社員の方々と共に考え出した企画を発表しました。工場でのフィールドワークを通して廃水に着目し、履修生の研究者の専門である膜処理と結びつけて拡がった可能性、それを学部生の柔軟な発想と組み合わせた新商品への展開に、提案企業からは「今後の商品開発だけでなく、従来踏襲してきた処理に対しても大きなヒントを得た」とのコメントを頂戴しました。

成果発表につづき、各提案企業からの代表、各テーマ担当グループからの代表履修生、および広島大学学術院 助教 生物圏科学研究科 星野由美先生をコメンテーターとして、川瀬先生をファシリテーターとして迎え、「点を結んで、新しい価値をつくる ~connecting the dots, crafting new values~」と題しパネルトークが行われました。今回のワークショップは多様性の高いチーム構成となっていたことから、オブザーバーを含む参加者の多くは「合意形成」、「多様性が生み出す可能性」についてさまざまな学びを得たようです。議論が暗礁に乗り上げたことで再考できたこと、自分とは異なる分野の出身者と議論を交わすことによって生まれた化学反応など、そのコメントは拝聴しているだけでも興味深く、オーディエンス参加者からも経験に基づく質問が寄せられ、闊達な意見交換が繰り広げられました。

最後にオブザーバーとして参加してくださった各企業・団体の代表者の皆様から総評をいただき、履修生に限らずオブザーバー参加された皆様にも、何かしら収穫のあったワークショップであったこと、そして来年度以降も是非継続してほしいという嬉しいご要望の声を頂戴しました。

広島大学社会産学連携室 原準一副理事(研究連携担当)よりご挨拶があり、今後のさらなる可能性に期待を込めた形で閉会となりました。

    
株式会社ヒロツクご講評         株式会社トイロご講評
株式会社ヒロツクご提供の8メートルの昆布と共に記念撮影