平成30年11月20日(火) 、第64回コンソーシアム人材セミナー「戦略コンサルティングと思考力 / 株式会社野村総合研究所 木下 貴史 氏による講演」を開催しました(参加者53名)。
野村総合研究所の木下貴史さんに、「戦略コンサルティングと思考力」と題して講演していただきました。
野村総合研究所では、主にコンピュータシステムの開発およびコンサルティング業務を取り扱っています。木下さんは大学院で専攻してきた分野を活かして、前者の技術部門に所属されていましたが、ひょんなことからコンサルティングという全く分野の違う業務に移られました。アカデミックに比べて、景気の変動をもろに受ける世界です。しかし、株価や世の中のニーズなど変化の多い中での仕事は、とても面白い経験であるとおっしゃっていました。
コンサルティング業務には多種多様な仕事内容があります。例えば、木下さんはITを専門にされていたことから、通信業界の企業における課題とその解決策を導出をされていました。昔ながらの古い方法で解決するのは時間や手間がかかってしまいます。コンサルタントが時代にマッチした先進的な方法を提案し、課題解決へと導く必要があるのです。さらに、企業価値を評価する業務もされています。対象の企業にはどういうところに価値があって、どういう局面で危機が生じるか、数式やデータに基づいて論理的に評価を行うことで、その企業の特性に合ったビジネスを提案することができます。また、これまでの営業のやり方では効率が悪い場合、業務効率を上げるために、振る舞いの変化指導を行い、カタログ営業から経営者への提案型営業へと営業組織の変革を行うこともされていました。さらに、新規事業参入への戦略を考える仕事もあります。その際、自社のビジネスが競合他社に対して差別化する方策について考えます。
コンサルティングは今や業務の効率的実行に関するプロフェッショナルとしての価値が認められ、現代社会の中で重要な役目を担っています。コンサルティング業務には、まず論理的思考が求められます。感覚から論理へ変換して冷静に分析を行い、戦略を練る能力が不可欠です。さらにイメージ、ストーリー、論点の集中化や、わかりやすく説得力を持って伝えることなど、博士課程で培ってきた能力が活かされる状況が多々あります。それでも、業界・領域の専門知識や構想力・発想力、バイタリティ、精神力など、コンサルティングにはさらなる能力が必要であるため、それらについては博士課程を修了した後に身につけていってください、と伝えられました。さらに、自分が学生の時に得たものを活かすために、自らの特徴・強みや自分が提供できる価値、キャリアイメージについて考えてみることが大事だと教えていただきました。