第40回コンソーシアム人材セミナー 開催報告

 平成29年7月5日(水)、第40回コンソーシアム人材セミナー「サッポロホールディングス株式会社グループR&D本部 価値創造フロンティア研究所長 土屋 陽一 氏による講演」を開催しました。(参加者54名)

■ 概要

 セミナーは「未来へつながる新しい『食の価値創造』のために」と題して行なわれました。
 まず、サッポロホールディングス株式会社で展開されている事業、サッポログループの歴史と沿革、国内外の酒類・飲料・食品業界のトレンドについて簡単に紹介していただきました。主な事業としては、「国内酒類」「国際」「食品・飲料」「外食」「不動産」の5つを展開しています。特に国際のビール事業に関しては、サッポロビールが30年連続でアメリカ市場におけるアジアのビールの中で一番のシェアを占めているとのことです。
 次に、LOX-1レス大麦[1]の開発や、協働契約栽培[2]、発酵技術の応用研究などサッポログループにおける達成した事例の紹介を通して、行われている研究をどのように会社で実用化してきたのか、また、研究開発が果たしてきた役割について説明していただきました。
 さらに、土屋さんが自分の経歴を振り返りながら、サッポロホールディングス株式会社の社風・業務・仕事内容及び会社生活を紹介しました。
 最後に、サッポログループの経営理念および経営の基本方針は踏襲したうえ、長期経営ビジョン「SPEED150」[3]を簡単に紹介していただきました。

(注)
[1]LOX-1レス大麦:ビールの劣化を引き起こす原因の一つが、原料の大麦に含まれる脂質を酸化する酵素リポキシゲナーゼ-1「LOX-1(ロックス ワン)」で、サッポロビールは、この酵素を持たないビール大麦の開発に着目している。
[2]協働契約栽培:お客様に「おいしさ」と「安全・安心」を提供する麦芽とホップを畑からつくり上げる、サッポロビール独自の原料調達システムであり、サッポロビールの大麦・ホップの専門家である「フィールドマン」が、直接産地に赴いて、生産者との協働作業を通して、畑から安全・安心で高品質な原料をつくり上げていくこと。
[3]「SPEED150」:サッポロホールディングス株式会社が、グループ創業150周年となる2026年までの10年間に、当社が進むべき方向性をまとめた長期経営ビジョンのこと。

■ 参加した学生から参加者の感想(一部)

〇 サッポロホールディングス㈱の取組や事業内容等のお話を聴くことができとても勉強になりました。中でも、いかに良いビールを造るかという点で、ビールにも様々な要素(味だけでなく泡、製造方法等)があり、それらを総合的に合わさって初めて本当に良いものが完成する、というビールメーカの深層のようなことを知ることができて良かったと思います。講師の土屋様のご経歴から、様々な経験をされてきたことや技術が今より発達していない中で様々な研究をされていた話を聴き、自分の進路について考えるきっかけにもなったと思います。 (生物圏科学研究科 女性)
〇 サッポログループの歴史や社風についてお話を伺い、やりたいことと意欲が有れば色々な仕事をさせてもらえるというのが、とても魅力的だと思いました。私は働く際、様々な方と“協働”し、繋がりを増やして働きたいという思いがあるのですが、今回のご講演資料の中に“協働”という言葉が入っており、同じ気持ちで働かれている一面があることが知れて良かったです。また私の祖母は大崎上島に住んでいますが、ポッカサッポロが島と協定を締結しているのを初めて知りました。レモンの長期摂取効果のテストで良い結果が分かれば、今よりも瀬戸内のレモンが広まり、島も活性化すると思うので、テスト結果に期待しています。 (生物圏科学研究科 女性)
〇 ご講演では、企業が近年どのような取り組みを行っているか知ることができ、これからの企業研究に活かしていこうと思いました。セミナー後半のグループディスカッションでは、自分だけでは考え付かなかったようなことを知ることができ、とても充実した時間でありました。普段の実験で何か新しい発見があれば、とても嬉しいですが、それを商品として売るところまで繋げていかなければいけないとしたら、さらなる努力と工夫が必要であり、より難しいことであると思いました。 (生物科学研究科 女性)
〇 サッポログループについての組織・体制について知ることができ良かったです。また与えられたことだけをするのではなく、自分で課題を見つけて、その課題に積極的に取り組むことが新しい“モノ”や“発見”、そして“技術の確立”へ繋がるということを知ることができました。また、ディスカッションでは、問題を見つけて、それに対して一観点から解決策を模索するのではなく、文化や健康、環境など様々な要因が関係して問題が発生しているため、それら一つ一つについて考えて、総合的に結び付け解決を図ることが必要なのだという事を感じました。 (生物科学研究科 女性)