第38回コンソーシアム人材セミナー 開催報告

平成29年5月31(水)第38回コンソーシアム人材セミナー「株式会社富士通研究所応用研究センター イノベーション推進室室長 菅坂 玉美氏による講演」を開催しました。(参加者29名)。

■ 概要

 セミナーは「ICT企業でイノベーションを実践する人材―研究成果の社会実装に向けた事例から」と題して行なわれました。
 講演の内容としては、以下の3つの観点を中心に説明が行われました。
 まずICT企業での研究について、富士通の事業構成及び富士通研究所の位置付けに関する内容を紹介していただきました。富士通株式会社はICTインフラから周辺機器まで幅広い範囲の製品とサービスを提供している総合企業あり,富士通研究所は富士通グループのR&D(Research & Development)の中核となる組織で、国家プロジェクトでは大学・研究機関を連携し、技術と市場の動向及びニーズの把握、先端材料、次世代素子、ネットワーク、クラウドシステム、Mobile、IoT(Internet of Things) )[1]、Big Data、AI、SecurityなどICTに関わる幅広い分野の研究開発に取り組んでいるとのことです。
 次に、富士通研究所の研究成果の社会実装に関して、主に環境インフラ、スポーツ、次世代対人サービスおよび農業などの分野で応用されている研究成果を紹介していただきました。
 最後に、企業で求められる人材像について、菅坂さんは①社会課題・ニーズがある新たな市場の探索力、②熱意に加え、周囲を巻き込みながら共に創る力、③尖った技術から新しい価値を生み出す力及び、④新しいビジネスモデルで実ビジネスを実現する力を備える人材、即ちイノベーションを実践する人材は研究所ないし会社に求められている人材であると説明いただきました。なお、グローバル人材として、英語力も不可欠であると指摘いただきました。
(注)[1]IoT:コンピュータなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在する様々な物体(モノ)に通信機能を持たせ、インターネットに接続したり相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うこと。

■ 参加した学生から参加者の感想(一部)

〇 将来の就職先の職種として、研究職を考えていたため、新しいモノを開発していく研究職の魅力を知ることができた。また企業が求める人物像を知ることができ、コミュニケーションや英語能力の大切さや“21時からイングリッシュの実践”[2]についてのお話は大変興味深かった。 (生物圏科学研究科 女性)
(注)[2]退社後の2次会では、飲んだ勢いで外国人と積極的に会話をすれば、語学力の上達とグローバルな友達作りに思いのほか役立つので実践してみてはどうか
〇 現在 注目されているICT企業がどのような事を行っているのか、分かり易い事例を挙げてお話頂き、とても興味深かった。特に興味深かったのは、農業とICTの関係のお話です。私は現在農学関係の研究を行っており、将来農学関係の仕事に就こうと考えていて、今回お話頂いた農家にICT技術を導入する話は将来の自分の仕事に関係するかも知れず、関心を以て聴かせて頂いた。(生物圏科学研究科 女性)
〇 最先端の分野で活躍されている女性の研究者の方のお話を聴くことができ良かった。特に様々な製品を紹介していただいた中で、新しいアイディアを思いつくことや、それを実装できる高い技術力に感動した。製品の研究開発は、一人では行えず、様々な分野の多くの人々と協力しながら進めて行くのだという事が分かった。私は大学で基礎研究を行っており、一人で研究を進めて行くことが多いが、企業に入れば、多くの方と一緒に仕事に関わることになり、そういった人達との関係を大切にしながら、研究を進めて行きたいと思った。(理学研究科 女性)
〇 今回と前回の講演でも、求める人材として、挑戦ができる人を挙げていた。挑戦ということが、与えられた課題に対して挑戦という事なのか、または自らやりたい事を見つけ出して挑戦することなのか知りたいと思った。農業やスポーツなど、従来の経験や勘に頼って行われてきた業界に対して、技術を持ち込むことで新たなビジネスモデルを形成していて、着目している点が広い分野にわたっていると感じた。(生物圏科学研究科 男性)