平成28年12月8(木) 、第32回コンソーシアム人材セミナー「株式会社日本製鋼所広島研究所押出成形グループ 担当課長 富山 秀樹 氏による講演」を開催しました(参加者20名)。
講演では、「製造業における研究開発とそれに求められる才能・技能とは?」と題して、企業の中で研究者がどのような役割を果たしていくのか、また、必要な能力とは何なのかに関して富山氏の実際の商品開発の実例や大学院時代の経験を踏まえて分かりやすくお話ししていただきました。実際にお客様に見せるCGを用いたシミュレーションの紹介では、実物であれば構造上見る事が出来ない部分を見事に映像再現しており、見る人に製品の特長や良さを強く印象付ける興味深いものでした。
富山氏は、大学と企業それぞれの研究の違いやなぜ博士が必要なのか、就職の際の企業選定基準等、博士課程後期の学生に向けた具体的なアドバイスを述べられました。また、これから必要になってくる能力・技術として、自分の専門を生かすフィールドや方法を見つける能力と、専門分野にこだわり過ぎず幅広く何事にも興味を持つ能力の重要性も強調されました。
講演は、化学や解析等の知識が全くない私でも、自分なりに理解する事が出来るほど分かりやすく面白いものでした。普段作られた「もの」しか見る機会がないため、その過程を知る事ができ、研究者の方のものづくりに対する熱い思いに触れられて大変貴重な経験が出来たと思います。私も含め、専門性が高くなるにつれて、そこで養われる専門知識は増えますが、別の方面に対する視野が狭まってしまうという経験を持つ方は少なくないと思われます。何事にも広く興味を持ち続けるということは一見簡単に見えますが、実はとても難しく、だからこそ重要になってくるということを深く実感させられました。(グローバルデザインセンターPA 谷)
また、参加者のコメントの一部を掲載します。
・自分の専攻とは異なった分野の話ではあったが、企業で働く心構えや製造業の技術者として大切なことについて話が聴けて大変良かった。また博士の採用について具体的な話を多くして下さり大変参考になった。今後の企業への就職に関する意識や、やっておくべき事を考える良い機会となった。 (生物圏科学研究科 女性)
・日本製鋼所で扱っているプラスチックは自分の研究分野とはあまり縁の無い素材であるが、とても興味深かった。特に研究、製造のアプローチでは解析業務が非常に重要で、化学合成を専攻している自分にとって、とても新鮮であった。計算分野は今後勉強していく必要があると感じた。(理学研究科 男性)