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2018年12月12日(水)14時より、標記成果発表会が開催されました。まず、広島大学産学・地域連携センター 柳下宏センター長より開会挨拶として「この演習では、非常に多様な学生・若手研究者が集まって、地域の課題に対し、今後の動向を視野に入れながら解決策を考えてきた。こういうことを考える力というのは、なかなか大学の授業だけでは経験できないこと。この授業を通して得られた成果を自分の研究などにうまく展開できれば、新しい自分を見つめ直し、新しい研究設計ができると思う。 」とのメッセージが贈られました。
つづいて、本演習のメインファシリテーターを務めた広島大学産学・地域連携センター、トランスレーショナルリサーチセンターバイオデザイン 川瀨真紀客員准教授より、講義の振り返りのセッションが行われました。アントレプレナーシップ教育プログラムの目的、本演習で目指したもの、学びを通して得られる体験、プロジェクト型学修(PBL)を用いた演習全体の流れについて説明がありました。
今回の演習では3企業から提案課題を提供していただきました。履修生の企画発表の前に、各企業の代表の皆様から、簡単な企業説明と併せ、設定していただいた課題(テーマ)の背景についてご発表いただきました。
いよいよ各グループの発表です。演習を通して提案課題がどのように変化し、どのような解決策に到達したのか、よりよく理解していただくために、フィールドワーク、未来洞察、企画発表の3段階に分けて発表が進められました。
グループ①では株式会社ラックス様および大田記念病院様の屋上見学、ヒアリングを通して得た気づきから、地域の人口、環境、経済について未来洞察を行い、具体的なシナリオを3種類作成しました。それらを基に、高齢者が働くことができる場所、介護療養施設で一人暮らしをする高齢者が活用できるデイケアの場所、大気汚染が進んだ場合の若年夫婦が活用する場所、というパターンごとに屋上の活用法について提案しました。株式会社ラックス代表取締役 山田哲矢様からは、「非常によくデータを調べて感心した。一方、学生ならではのぶっ飛んだアイデアもほしかった。ただ、これまで自分たちが思いつきもしなかった『若年夫婦』などのキーワードが出てきて非常に参考になった。地域という枠組みにこだわらず、世界の中の地域という位置づけで、例えばSDGsに関連づけて検討してみてもよかったのでは」とのご講評を頂戴しました。
グループ②では、株式会社プランニングサプライ様にご案内いただいたオープンスペース“Ripple”を足掛かりに、10年後の下見地域に外国人が増加した場合と減少した場合という両極端なシナリオを立て、それぞれに対応するオープンスペースの活用法について提案しました。前者については、留学生の履修生自身の体験から、留学生向けの情報提供サービスや異文化交流イベントの開催場所としての活用が挙げられました。一方後者については、学生が地域の子供たちと関わりを持てる環境づくりを目指し、高い専門性を持つ学生、院生、研究員、教授ならではの実験教室や歴史、文化教室を、各年代の子供たちに向けて開講することを提案しました。株式会社プランニングサプライ営業部東広島地区エリアマネージャー 田儀正則様からは、「両極端なシナリオを基に提案を立ててもらったが、実際にはどちらも挑戦する価値のあるアイデアだと思う。ここから実践するのは自分たちなので、参考にしていきたい。」とのご講評を頂戴しました。
グループ③では、株式会社小泉新聞舗様の共有スペース「小泉サロン」で色々とヒアリングさせていただいた歴史、経営陣の想い、今後の新聞業界が抱えるリスクなどを基に、綿密なPESTLE分析、ステークホルダー分析を行い、地元コミュニティーへの情報支援を行うための商品、サービス強化を提案しました。その提案には、SNSやスマートテクノロジーを活用した商品・サービス・広報等の強化に加え、配達サービスを活用した資産活用、そしてイベントスペースの最大活用化が挙げられていました。 株式会社小泉新聞舗 代表取締役 鈴木圭太様からは「これまでやらなければと思っていながら見てこられなかった部分を色々と指摘してもらった。商品やサービスの活用などは、専門スタッフを雇用するなどして前向きに検討したい。配達サービスの詳細案などは非常に面白い。今すぐにも地元で協力者を得られると思われる提案もあるので、早速検討したい。」とのご講評を頂戴しました。
その後、提案企業および履修生の代表者によるパネルディスカッションが開かれ、川瀨准教授のファシリテーションのもと、演習を通してどのような気づき・学びを得たか振り返りました。履修生は共通して、多様なバックグラウンドを持ったグループメンバーと違う視点から意見を交わしたことが非常に勉強になったようです。また、この演習を通して、自分の論文や研究に活用できる視点や分析法、ツールを学べたという履修生も多かったようです。提案企業の方々からは、「新しい視点を得られた」「従業員全員に聞いてほしい内容だった」「これからどう活用していくかが自分たちの課題だ」などのご意見が挙がりました。川瀨准教授から「企画提案するというのは正解がないもの。実際に学んだものをそれぞれが実地で取り入れながら活用していってほしい」とのまとめがありました。
履修生と提案企業の皆様にとって、それぞれに価値のある二か月となったようです。履修生たちはこの成果発表会で纏めた企画を、さらに個々人でブラッシュアップし、最終レポート提出を行います。最終企画の一部でも、形を変えてでも、何か新しい価値を生み出すべく実現化されることを願っています。